昨日、初めて登記申請をしました!
いくつか並行して動いていて、どれが初の申請になるかしら・・!?とワクワクしていたところ、本日、その時を迎え・・・
記念すべき初申請は、 ・・・
「資本金の増加」の登記でした!
今回は「現物出資」の手続き。
汐留さん(*1)時代にたくさん修行させてもらったおかげで、もちろん頭に入っているのですが、念の為にもう一度復習しておこう!と書籍を調べました。すると、あんなに分厚い「商業登記書式精義」にも載っていないようで・・・。
インターネットで検索をしてみると、「現物出資」というキーワードで出てくる記事は、会社設立のタイミングでの「現物出資」のことばかり・・・。
同じ取り扱いがされているなら良いものの、“増資”の「現物出資」と“設立”の「現物出資」では、用意しなければならない書類が異なるので、これでは“増資”の「現物出資」をお考えの方は混乱するだろうなと思い、記事を書いてみることにしました。
「募集株式の発行による変更の登記」について規定されている条文は、商業登記法第56条です。
(商業登記法)
第56条 募集株式(会社法第百九十九条第一項に規定する募集株式をいう。第一号及び第五号において同じ。)の発行による変更の登記の申請書には、次の書面を添付しなければならない。
一 募集株式の引受けの申込み又は会社法第二百五条第一項の契約を証する書面
二 金銭を出資の目的とするときは、会社法第二百八条第一項の規定による払込みがあつたことを証する書面
三 金銭以外の財産を出資の目的とするときは、次に掲げる書面
イ 検査役が選任されたときは、検査役の調査報告を記載した書面及びその附属書類
ロ 会社法第二百七条第九項第三号に掲げる場合には、有価証券の市場価格を証する書面
ハ 会社法第二百七条第九項第四号に掲げる場合には、同号に規定する証明を記載した書面及びその附属書類
ニ 会社法第二百七条第九項第五号に掲げる場合には、同号の金銭債権について記載された会計帳簿
四 検査役の報告に関する裁判があつたときは、その謄本
五 会社法第二百六条の二第四項の規定による募集株式の引受けに反対する旨の通知があつた場合において、同項の規定により株主総会の決議による承認を受けなければならない場合に該当しないときは、当該場合に該当しないことを証する書面
このとおり、商業登記法第56条の第1項第2号に、「金銭出資」のときは、払込があったことを証する書面を添付しましょう、という規定が置かれています。
その一方で、「現物出資」のときは、というと、これに相当する規定はありません。
規定がない以上、添付する必要はありません。
金銭出資のときに添付する「払込があったことを証する書面」に代えて、現物出資の目的となる財産が給付されたことを証する書面、例えば代表取締役の受領証や、引継書などを添付するのかな?考えがちですが、要らない、が結論です。
(ちなみに、56条第1項第3号イロハニで定められている諸々は、また別です。検討事項は様々ありますが、シンプルに、現物出資財産が500万円を超えない場合は、この3号も考えなくて大丈夫・・・)
*私の好きな実務書:「事例で学ぶ会社法実務(全訂版) 中央経済社 金子登志雄さんほか」には、この結論も、しっかりと載っています!
これに対して、会社設立のときは、というと、要るんです。調査報告書や財産引継書。
「設立の登記」について規定されている条文が商業登記法の第47条です。
長いので該当部分だけ。
第47条 (省略)
2 設立の登記の申請書には、法令に別段の定めがある場合を除き、次の書面を添付しなければならない。
一 (省略)
二 (省略)
三 定款に会社法第二十八条各号に掲げる事項についての記載又は記録があるときは、次に掲げる書面
イ 検査役又は設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査役設置会社である場合にあつては、設立時取締役及び設立時監査役)の調査報告を記載した書面及びその附属書類
ロ (以降省略)
該当する条文は、商業登記法第47条の第2項第3号イです。
第3号で「定款に会社法第二十八条各号に掲げる事項についての記載又は記録があるとき」とされていますが、ここに「現物出資」の規定があるときが含まれています。
イで、検査役や設立時取締役の「調査報告を記載した書面」を添付しましょう、と定められています。
そして、調査し報告をするべき内容の一部が「財産の給付があったこと」なのです。
「発起人○○の引受けに係る○株について、令和○年○月○日現物出資の目的たる財産の給付があったことは、別紙財産引継書により認める。」というような報告文にするとよいでしょう。
(括弧内の文言は法務局の提供する記載例[PDF]からの抜粋ですので、安心してご使用ください。ただ随時アップデートされているようなので、法務局のウェブページから直接ダウンロードされることをお勧めします。よくわからなければ、ご案内しますので、お気軽にご連絡いただければと思います。)
※ 括弧内の記載にあるように、「財産引継書」という文書を別に作成して沿えることが一般的です。
なお、「財産引継書」は発起人が会社に充てて作成する文書です。
*1 汐留さん:汐留パートナーズ司法書士法人さんの愛称です
―――
そんな汐留さんの所長が先日遊びに(仕事しに?)オフィスにいらしてくれました。
この木の凸凹が気に入ったようでした。
せっかくなので木の凸凹に囲まれた籠もりスペースで一緒に仕事してみました。
たのしかったです。
(小学生の日記風)